2023年に30周年を迎えた「機動戦士Vガンダム」
富野監督の「このDVDは見られたものではないので買ってはいけません」発言や、鬱アニメのネタとして扱われる事が多い本作でしたが、各メディアでVガンダムの制作スタッフが当時を回顧する機会が増え、再評価が始まっています。
このブログでは、Vガンダムに登場するメカ・キャラクターの演出方法や制作当時のエピソードについて解説します。
過去にVガンを観たことのある方も、改めて振り返ってみると新たな魅力を発見できます。
放送日・スタッフ(敬称略)
- 放送日:1993年4月30日
- 脚本:園田英樹
- 絵コンテ:西森章
- 演出:玉田博
- 作画監督:谷口守泰 吉田徹
あらすじ
ベスパのラゲーン基地に入院していたガリー・タン少尉は、戦友サバトの仇討ちのため、試作MSゴッゾーラを持ち出し単独で出撃する。
リガ・ミリティアの秘密工場に潜入していたクロノクルの助力によって、ガリーは秘密工場への空爆を開始。ウッソは、怪我で動けないマーベットの代わりにコアファイターで出撃する。激闘の末、Vガンダムとゴッゾーラは相打ちとなり戦闘不能に。
ゴッゾーラから出たガリーは、生身の身体でVガンダムに銃口を向ける。その敵の姿に、ウッソは激しく動揺する。
キャラクターについて
ウッソ・エヴィン
成り行きでVガンダムに乗り込み、ベスパのイエロージャケットを撃退したウッソは、リガ・ミリティアのクルーに認められつつありました。
新たな居場所を見つけて、ウッソの気持ちは高揚します。
そして、次なる戦闘が迫る中、戦いに赴く13歳の少年の心の迷いが描かれます。
ウッソ少年、調子に乗ってます
Vガンダムのマニピュレーターで、オデロたちにいたずらをするウッソ。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ベスパのイエロージャケットを倒したことや、自分にしか操縦できないおもちゃ(Vガンダム)を手に入れたことで、気が大きくなっているのかもしれません。
おもちゃといっても、15m級の兵器ですが。
13歳という年相応の一面を垣間見られる貴重なシーンです。
誉めてくれないカテジナ
時系列上の前話(第1話)「白いモビルスーツ」で、ウッソがクロノクルのゾロと交戦したのは、早朝の出来事でした。
食事をとっていないウッソは、チャバリから受け取ったパンをかじり、行方の知れないシャクティを探しに出かけます。
そこでカテジナと出会ったウッソは、咄嗟に持っていたパンを後ろに隠します。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
憧れの女性に、みっともないところを見せてはいけないというウッソの恋心が描かれています。
「カテジナさん。どうでした。僕の操縦。」(ウッソ)
「怪我はなかったようね。」
「命のやり取りした。気分はどう。」(カテジナ)
「…どういう意味ですか。」(ウッソ)
意外な返答に動揺するウッソ。
「意味って。あなたみたいな子が、なんであんなことができたのかって、あたし、信じられなくて。」(カテジナ)
「僕だってそうです。怖いだけで何がなんだか。」(ウッソ)
「それが普通なんだわ。あなた。」(カテジナ)
「したくてやったわけじゃありません。」(ウッソ)
「怖い人だけにはならないでね。ウッソ。」(カテジナ)
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
カテジナはポケットからハンカチを取り出し、ウッソの口についたパンの食べカスをハンカチで拭きます。
なぜカテジナは、ウッソに冷たく接したのか
カテジナは、ウッソが13歳の子供であるにもかかわらず、自ら戦場に出ていってしまうことに対して、『違和感』を持っているからです。
「命のやり取りした。気分はどう。」(カテジナ)
戦争を嫌うカテジナは、ウッソに対して皮肉めいた言葉を投げかけます。
ステレオタイプな考えを持つカテジナから見れば、ウッソの数々の信じられない行動は、彼が根っからの戦争マニアなのか、もしくは戦争によって少年の好奇心が誤った方向に向かっているのではないかと警戒しています。
「僕だってそうです。怖いだけで何がなんだか。」(ウッソ)
「それが普通なんだわ。あなた。」(カテジナ)
「したくてやったわけじゃありません。」(ウッソ)
この台詞のやりとりで、カテジナはウッソへの警戒心が解けます。
それは、カテジナがポケットからハンカチを取り出し、
「ウッソの口についたパンの食べカスをハンカチで拭く」という行動に表れています。
「怖い人だけにはならないでね。ウッソ」(カテジナ)
カテジナの名台詞。
ウッソを諭すつもりで投げかけた言葉ですが、特大ブーメランとなって当の本人に返ってくるとは。
ウッソが『まともな人間』であると理解したカテジナは、
ウッソを利用するリガ・ミリティアの大人たちへの反抗にシフトしていきます。
しかし、カテジナがウッソに感じている『違和感』は、後にウッソを『気持ち悪い』と評価するほどに彼女の中で増していき、ウッソは嫌悪の対象となっていきます。
ガリーとの戦闘
リガ・ミリティアの秘密基地『カリーン』を空爆するベスパのイエロージャケット、ガリー少尉に応戦すべく、ウッソはコア・ファイターで迎撃に出ます。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
マーベットらカミオン隊は、ウッソを援護するためにハンガー、ブーツを次々に射出。
Vガンダムの特性を把握していないガリーは、次々に出現する正体不明の戦闘機(トップ・ファイターやブーツ)を、複数の敵と誤認します。
ウッソのコア・ファイターは、トップ・ファイターを経てVガンダムへの合体を遂げ、ガリーに挑みます。
「パイロットは切り刻んで、その白と青のモビルスーツを血の色で赤く染め上げてやる!」(ガリー)
気迫に勝るガリーの攻撃によって、次第に防戦一方の展開となり、ウッソのVガンダムは被弾します。
ウッソは辛くも相打ちに持ち込み、両者のMSは互いに戦闘不能になります。
生身の人間の狂気が、ウッソ少年を襲う
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
戦闘不能になったゴッゾーラから這い出たガリーは、生身の身体でVガンダムに銃口を向けます。
決着がついたと感じていたウッソにとって、まさかの展開です。
「来るな!来るんじゃない!来たからって。」
「頭にあるバルカン砲の弾は、1発か2発残ってるんだ。それを使えばお前なんか…、お前なんか!」(ウッソ)
動揺するウッソ。
「俺は…、ガリー・タンなんだ!」(ガリー)
Vガンダムに発砲するガリー。
MSの装甲越しにいるウッソが、危害を受けることはないのですが、
13歳の少年に初めて向けられた生身の人間の狂気は、ウッソの戦意を喪失させるのに十分すぎるトラウマを与えました。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
上手(画面右側)の影が、忍び寄る不穏なものを予感させ、Vガンダムのカメラアイの輝きが片方だけなくなることで、ウッソの戦意が喪失していく様子が描かれています。
ウッソは、ガリーを撃つことができませんでした。
ウッソの撃墜数
ウッソが劇中で敵機を撃墜した数をカウントします。
撃墜としてカウントする定義は、戦闘不能状態(もしくは撤退)になったもの。小破・中破にかかわらずカウントします。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ウッソの撃墜数
- 1機:ゴッゾーラ(ガリー機)
- シリーズ累計 7機
揺れ動く13歳の少年の心
ウッソのVガンダムに敗北し、捕虜となったガリーは激昂します。
敵意をむき出しにする生の人間の姿を目の当たりにし、ウッソは動揺を隠しきれません。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
「ウッソ君。気にしてはいかん。」(レオニード)
「でも、全部が全部僕が悪いんじゃないかって。」(ウッソ)
「馬鹿言っちゃいかん。君が、敵のパイロットたちの人生に影響を与えるほど、大きな存在だったのかね?違うだろ。そんなふうに感じすぎるのは良くないぞ。」(レオニード)
そこへカテジナが割って入る。
「でも、そう感じられる。ウッソ君、いい感覚してますよ。そういう子供を戦争に巻き込むあなた達、私、嫌いです。」(カテジナ)
「その考え方には反論の余地はない。しかしな。」(レオニード)
「しかし、しかし、しかし。しかし、世の中はそれだけでは動かない。色々事情があってそうはいかないんだから。って言うんでしょ!」(カテジナ)
その場にいるのが耐えられなくなったウッソは、カテジナとレオニードのもとを離れようとします。
その先には、行方知れずだったシャクティの姿が。
ウッソは安堵するが、
シャクティは泣きながら「カサレリアへ帰ろう」と懇願されます。
「そうなさいな、ウッソ君。私もシャクティさんの言うことに賛成よ。」(カテジナ)
そういうカテジナに、怪訝な表情を見せるウッソ。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
そして、虚ろな表情に戻り、「はい。考えてみます。」と返事します。
憧れの女性に対して、初めて負の感情を一瞬見せるところが印象深い。
ウッソの感情が揺れ動いていることが伺えます。
ウッソはなぜ、戦場に向かうのか?
「ウッソダメよ。怖いんでしょ」(シャクティ)
「怖いよ。だからって、このまま死ねるの?殺されていいの?僕は嫌だよ。」
「いつの間にかいなくなった父さんや母さんのことを知らないまま死ぬなんて。」
「シャクティだって、自分の両親のことを知らないまま死にたくないだろ。だから行くよ。」(ウッソ)
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ここでついに、ウッソの本心が吐露されます。
ウッソ根底には、自分たちを置き去りにして行方知れずになった両親を探したい。という行動原理があります。
ベスパのイエロージャケットとの遭遇、カミオン隊、そしてヴィクトリーとの出会い。今までの日常を一変させる出来事が起きました。
今まで触れたことのなかった世界と関わることで、外の世界に出られる。
つまり、外の世界へ行ってしまった両親の居場所に繋がる手がかりが得られるのではないかと、ウッソは考えていたのかもしれません。ウッソにとって、これは千載一遇のチャンスが到来したと感じていたのでしょう。
このままベスパ(=ザンスカール帝国)の侵攻が拡大すれば、
いずれ、自分たちの生活や命が脅かされる恐れがある。
自分には、MSを操縦できる技能がある。
実際に、今まで戦ってこれた実績と自信。今の状況を打開できる力を持っている。
ウッソには、簡単に戦争から逃げ出すことができない理由があったのです。
カテジナ・ルース〜頭でっかちのお嬢さんの孤独〜
リガ・ミリティアのコミュニティの中に溶け込んでいくウッソとは対象的に、
カテジナには、居場所がないことが浮き彫りになっていきます。
今エピソードでは、戦場に赴くウッソをカテジナが引き止め、リガ・ミリティアのメンバーと衝突するシーンが2度も描かれます。
マーベット&チャバリとの衝突
リガ・ミリティアの秘密工場が、イエロージャケット(ガリー)に発見されてしまい、マーベットはウッソに出撃を要請します。
「怖いんでしょう。ウッソくん。あなたが行くことなんかないわ。」(カテジナ)
カテジナは、そう言ってウッソを引き止めます。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
「でも、それじゃ誰が行くんです。」(ウッソ)
「レジスタンスが集まっているなら、誰かいるでしょう。」
「あの人たちのために戦って、シャクティさんを探せなくて、あなたはいいの?」
「この子は、この戦争には関係がないんです。殺し合いは、大人たちだけですればいいんですよ。」(カテジナ)
「あたしたちは守るものがあるから戦っているのよ。」(マーベット)
「そうだよ。よそ者の頭でっかちのお嬢さんは引っ込んでもらいたいね。」(チャバリ)
「ウッソは子供なんですよ。」(カテジナ)
「僕は、僕はカテジナさんにも、マーベットさんにも、みんなにも死んでほしくないんです。」(ウッソ)
部屋を飛び出すウッソ。
「ああいう子なのよ、あの子…。あの心こそ、宝なのよ…。カテジナさん。一番大切にしたい心なのよ。」(マーベット)
「あたしが、間違っていたんですか。」(カテジナ)
「間違っちゃいないよ。頭でっかちだとは言ったけどね…。」(チャバリ)
カテジナの論理は、至極真っ当で正しいことを述べています。
ところが、マーベットやチャバリ、戦場に行かせまいと守ろうとしたウッソにも、
カテジナの考えは受け入れられません。
マーベットが流す涙の意味とは?
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
「ああいう子なのよ、あの子…。あの心こそ、宝なのよ…。カテジナさん。一番大切にしたい心なのよ。」(マーベット)
マーベットは涙を流します。
マーベットは、ウッソの想いを宝と表現しました。
リガ・ミリティアの理念は、ザンスカール帝国のギロチンによる恐怖が支配する圧政から、ウッソのような少年たちが生きていく未来を守るために抵抗運動をしています。
マーベットもまた、その理念に共感し戦っています。
にも関わらず、未来ある13歳の少年を戦場に行かせてしまう矛盾に苛まれ、マーベットは心を痛めているのかもしれません。
レオニードとの衝突
『ウッソ・エヴィン〜揺れ動く13歳の少年の心〜』の項で解説した台詞のやり取りを、カテジナの目線から解説します。
「ウッソ君。気にしてはいかん。」(レオニード)
「でも、全部が全部僕が悪いんじゃないかって。」(ウッソ)
「馬鹿言っちゃいかん。君が、敵のパイロット達の人生に影響を与えるほど、大きな存在だったのかね?違うだろ。そんなふうに感じすぎるのは良くないぞ。」(レオニード)
そこへカテジナが割って入る。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
「でも、そう感じられる。ウッソ君、いい感覚してますよ。そういう子供を戦争に巻き込むあなた達、私、嫌いです。」(カテジナ)
「その考え方には反論の余地はない。しかしな。」(レオニード)
「しかし、しかし、しかし。しかし、世の中はそれだけでは動かない。色々事情があってそうはいかないんだから。って言うんでしょ。」(カテジナ)
ここでもカテジナの論理が通用せず、大人の都合を持ち出されることに辟易したカテジナは、レオニードの話を遮り、声を荒げます。
カテジナはなぜ、リガ・ミリティアの活動に否定的なのか?
カテジナは、リガ・ミリティアの活動やカミオン隊の老人たちに不信感を抱いていました。
第3話『ウッソの戦い』で、ベスパのイエロージャケットが行った、カテジナの故郷ウーイッグへの空襲は、リガ・ミリティアが、秘密工場を隠すための陽動作戦として誘発した出来事でした。
この空襲で被災したカテジナは、リガ・ミリティアの真意を知り、驚きます。
両親の都合に振り回され、愛情に恵まれなかった人生を歩んだカテジナにとって、
MSを操縦できるウッソを利用するカミオン隊の老人たち(リガ・ミリティア)も、
両親と同様に嫌悪する存在だったのです。
後に、カテジナがザンスカールへ身を投じることになるのも、
ウッソに対する『違和感』や、リガ・ミリティアの活動に対する『嫌悪感』が要因となっていると考えられます。
クロノクルとの出会い
カテジナは、リガ・ミリティアの秘密基地に潜入したクロノクルと初めて出会います。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ここから、カテジナの人生の転機が始まります。
クロノクル・アシャー
時系列上の前話(第1話)『白いモビルスーツ』で、ウッソに敗北したクロノクルは、
どさくさ紛れにリガ・ミリティアの秘密工場に潜入していました。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
どこまでも優しいクロノクル
物語序盤のクロノクルは、彼の人柄の良さを表現した描写が印象的です。
- 寝ぼけたスージィをトイレに連れていく
- 空襲で崩落した天井のコンクリートの破片から、シャクティとスージィを庇う
クロノクルは、優しい以上のキャラを見出だせず、カテジナに埋もれていくところが本当に惜しい存在です。
奇怪千万少女シャクティが気になる〜ひなげしの旅のむこうに〜
クロノクルにとって、シャクティは気になる存在となっていきます。
今エピソードでは、クロノクルが、『ひなげしの旅のむこうに』を口ずさむシャクティを目撃します。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
『ひなげしの旅のむこうに』は、Vガンダムの物語の核となる挿入歌です。(超名曲)
作詞は、富野 由悠季監督(井荻 麟はペンネーム)が担当。
- 作詞:井荻 麟
- 作曲:千住 明
- 編曲:千住 明
「姉さんが歌っていた歌を。なぜあの子が。」(クロノクル)
行く先々で現れるシャクティを「奇怪千万」と評します。
空襲で崩落した天井のコンクリートの破片からシャクティたちを庇ったのも、
クロノクルにとって、姉にゆかりのある歌を知っているシャクティが、放っておけない存在になっているからだと考えられます。
野人の戦士ガリー・タン
第2話『マシンと会った日』でウッソに敗北した後、カサレリアの森に遭難したガリーは深傷を負い、ラゲーン基地に入院していました。
ガリーは医師から痛み止めを奪い、組立が終わったばかりの試作MS『ゴッゾーラ』を強奪し、単独で出撃します。
独房入りをも受け入れる覚悟で出撃に拘る理由は、
サバトの復讐を果たすためです。
出撃を許したファラ司令はこう言います。
「恋人が殺されれば、ああもなろう。」(ファラ)
ファラは例え話として、二人の間柄を「恋人」と表現しましたが、
ガリーとサバトが、本当に恋人関係だったかもと考えると…、なかなか興味深いです。
「サバトの仇を俺が取らなくて、誰が取るというのだ。」(ガリー)
ガリーは、リガ・ミリティアに強い復讐心を抱き、出撃します。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ファラの思考から見えるイエロージャケットという軍隊の歪んだ価値観
負傷しているガリーに出撃を許可したファラ司令。
「憎しみは、どんな武器よりも力を発揮する。」(ファラ)
ファラの真意は、ガリーを捨て駒にして、MAリカールとゴッゾーラのテスト飛行と
リガ・ミリティアの新型MS(Vガンダム)の性能をチェックすることでした。
サバトの復讐に燃えるガリーであれば、常人以上にゴッゾーラの性能を引き出し、より高い戦闘データを取ることができると判断したのです。
リガ・ミリティアとの戦闘に入ったガリーをモニターしていたファラとワタリーの会話から、
その真意が伺えます。
「ワタリー。(ガリーは)痛みでよく動けんようだな。」(ファラ)
「戦士に死に場所を与えてやるというのも恩情と思いますが。」(ワタリー)
「そうだな。このリカールとゴッゾーラのテスト飛行のデータも手に入れられた。メッチェ、基地へ帰投だ。」(ファラ)
イエロージャケットは、MSの性能テストの実験部隊。
パイロット一人の命よりも、MSの戦闘データの方を優先し、使い物にならない兵を切り捨てています。
ザンスカール帝国は、サイド2から遥々地球まで侵攻してきた軍隊です。今までのリガ・ミリティアとの戦闘でも、既にイエロージャケット側に多数の死傷者を出しているにも関わらず、貴重な兵力を捨て駒にするファラの冷徹な采配が印象的です。
捨て駒にされたガリーは、援護を受けることもなく、孤軍奮闘することになります。
その後、ガリーは一体どうなった?
ウッソのVガンダムを、あと一歩のところまで肉薄しますが、両者相打ちとなり戦闘不能に。
ガリーは、リガ・ミリティアに捕縛されます。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
しかし、その後ガリーが、劇中に登場することはありませんでした。

ガンダムシリーズでは珍しい、野人おじさんキャラ。CVの山崎たくみさんの演技も素晴らしかったので、再登場して欲しかったですね。
集結するリガ・ミリティアの若者たち
リガ・ミリティア秘密基地には、各地の散在していたレジスタンスが集結しつつありました。
その中には、後にリガ・ミリティアの旗艦『リーンホースJr』に乗船し、最後まで大戦を生き残った若いメンバーたちが初登場します。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
- 左:クッフ・サロモン(メカニック)
- 中:ネス・ハッシャー(メカニック・オペレーター)
- 右:ストライカー・イーグル(メカニック)
モビルスーツについて
ワンオフの名機ゴッゾーラ
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
今エピソードのサブタイトルの冠したベスパの試作MS『ゴッゾーラ』。
シャッコーに続き、デザインは石垣純哉氏が担当。
特徴的な頭部は、頭部全体がセンサーの役割を果たし、索敵能力に優れています。
劇中、ガリーがリガ・ミリティアの秘密基地の周辺に潜む大型車両を、即座に索敵するシーンがあります。ゴッゾーラの索敵能力の高さを物語っています。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ゴッゾーラの武装について
ゴッゾーラは、全身に豊富な武装を増備。火力に全振りしています。
- 頭部バルカン砲
- ビーム・ライフル
- ビーム・サーベル
- ビーム・ローター
- 腹部ビーム・カノン
- 9連マルチランチャー
自慢の火力で、リガ・ミリティアの秘密工場を空襲。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
パイロットが、負傷しているガリーではなかったら、
もっと高い戦果をあげていてもおかしくない高性能の機体です。
進化するビーム・ローター
引用元:機動戦士Vガンダム 新モビルスーツバリエーション・ハンドブック② ©創通・サンライズ
試作機に相応しく、ベスパの重力化専用MSの課題を改善するために、ゴッゾーラには最新技術が投入されています。
ベスパのMSのアイデンティティ『ビーム・ローター』発振器も、ゾロと比較して技術的に進化しているのが見て取れます。
ビームローターの稼働効率と消費エネルギーの省力化および、新型センサーの搭載が実施された。ゾロに装備されるビームローターは、ビーム発振端末を4基持つが、その端末を同じエネルギー単位で3基に減らしても実用に堪えうるかどうかということが検討されていたのである。
引用元:機動戦士Vガンダム 新モビルスーツバリエーション・ハンドブック② ©創通・サンライズ
このトリニティタイプのビームローターは、実用上ほぼ支障なく稼働し、充分に実戦に投入できることが確認された。
ビームローターのビーム発振端末数
- ゾロ 4基
- ゴッゾーラ 3基
- ドムットリア 2基
ゴッゾーラの運用試験で実証された、ビーム・ローターの省力化。
その後も、ビーム・ローターは進化を続け、
物語中盤の登場するトムリアットの発展MS『ドムットリア』のビーム発振端末の数は、
ゾロの半分になりました。
このように、ゴッゾーラからベスパの技術の進化の過程が見て取れるのも、興味深いです。
ゴッゾーラにまつわる石垣純哉氏(メカニックデザイナー)のコメント
ゴッゾーラのデザインを担当した石垣純哉氏のXの投稿では、
デザインにまつわる裏話を見ることができます。

ゴッゾーラを当時リアルタイムで初めて見た時の衝撃は、はっきり覚えています。特徴的な頭部とプロポーションは、ジオン系とも『F91』のブッホ系とも異なり、同じベスパのMSの特徴でもある「複眼」がないデザインも斬新でした。
大河原邦男氏が描くゴッゾーラ
『機動戦士Vガンダム 新モビルスーツバリエーション・ハンドブック②』には、
メカニックデザイナー大河原邦男氏が描いた、貴重なゴッゾーラのイラストを見ることができます。
引用元:機動戦士Vガンダム 新モビルスーツバリエーション・ハンドブック② ©創通・サンライズ
Vガンダム
物語序盤ということもあり、マルチプルモビルスーツ『Vガンダム』の運用方法を紹介する演出が多いのが特徴です。
Vガンダムの分離シークエンス
実戦で初の合体を成功させたVガンダム。
メンテナンスを行うために、「ブレイクコマンド」を起動します。
要は、MS形態からトップリム(ハンガー)とコア・ファイターを分離する”戻し変形”です。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
各パーツが、順番に分離していくシークエンスを見ることで、
「マルチプルモビルスーツ=Vガンダム」の機構をわかりやすく解説しています。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
立ち尽くす、ボトムリム(ブーツ)が滑稽です。
コア・ファイターの出撃シーンとVガンダムの運用方法
リガ・ミリティアの秘密工場では、MS形態での格納や出撃を行うことができないため、コア・ファイター、ハンガー、ブーツと、それぞれ分離した状態で運用されます。
リガ・ミリティアのクルーが航空士となって、ウッソのコア・ファイターの出撃をサポートする描写があります。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
秘密基地には、各パーツを射出できるカタパルトが複数用意されています。
リガ・ミリティアの各メンバーが、管制担当と連携をとり、ハンガーやブーツを手際よく射出する様子が丁寧に描かれています。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
ゲリラ活動を行っているレジスタンスにとって、小回りの利く最適な方法でVガンダムを運用していることがわかるシーンです。
すぐに壊される主役メカ
Vガンダムの2戦目の相手は、ガリーの駆るゴッゾーラ。
第1話『白いモビルスーツ』では、ブーツが粉々に破壊されましたが、
今回は、手足が次々と被弾し損傷していくVガンダムが印象的です。
引用元:アニメ『機動戦士Vガンダム』第5話「ゴッゾーラの反撃」 ©創通・サンライズ
2戦目で、ここまでボロボロになる主役メカも珍しい。
最後に
今回も、情報量満載の見ごたえのあるエピソードでした。
「全身凶器」の試作MSゴッゾーラと野人ガリー・タンとVガンダムの激闘。ガリーの狂気は、ウッソに強烈なトラウマを与えました。
キャラ描写では、リガ・ミリティアに馴染むウッソと、全く馴染めないカテジナの対比が描かれます。これが、後にカテジナがザンスカールへ身を投じる遠因となる布石です。
ここから先も、ベスパのイエロージャケットのクセの強い軍人が次々と登場し、ウッソに迷いとトラウマを与える展開が続きます。